ホリスティック豆知識Blog

2018年10月15日(月)

豆知識

犬の関節炎を、栄養や過ごし方などでサポートするには?

気温が下がる秋~冬は、関節に疾患のある犬にとっては、厳しい季節ですね。

今回は、ホリスティックケア・カウンセラー養成講座のテキストで「ホリスティックケア総論」「犬と猫の生理学・解剖学」を執筆いただいた羽尾 健一先生(プレマ動物ナチュラルクリニック院長)に、関節についての解説と家庭でできるケアについてお伺いしました。

関節のお話

関節とは、骨と骨が連結する部分で、靭帯(じんたい)という伸び縮みできる組織で結ばれています。そして、連結部分の骨の関節面はクッションの役割をする軟骨で覆われています。

また、関節は関節包(かんせつほう)という柔軟性のある袋状の組織にすっぽりと包まれています。関節は体の部位によって形も動き方も異なります。

人同様、犬猫でも様々な関節の疾患があります。関節リウマチ、特発性多発性関節炎、犬の股異形成(こいけいせい)、前十字靭帯断裂、膝蓋骨(しつがいこつ)脱臼などです。

 

■関節リウマチ

自己免疫性の全身疾患であり、その病態に異常な免疫反応が関与すると考えられているのですが、詳細はほとんど分かっていません。ミニチュア・ダックスフンド、チワワ、トイ・プードルなどの中年齢の小型犬に多く発症します。特に起き抜けや休息後などに歩き方がおかしいなどの症状がみられます。薬による治療を行っても予後は良くありません。

 

■特発性多発性関節炎

この疾患も免疫が関与すると考えらており、発熱、跛行(はこう)※正常な歩行ができない状態、関節痛、元気・食欲の低下などの症状がみられます。

 

■犬の股異形成(こいけいせい)

股関節の連結が次第に緩んで亜脱臼を起こし、股関節の炎症や形成異常の原因となる疾患です。ゴールデン・レトリバーやラブラドール・レトリバーなどの大型犬種での発生率が高いです。

 

■前十字靭帯断裂

前十字靭帯は膝関節にあり、犬ではスポーツなどの外傷による断裂はまれで、そのほとんどは靭帯が加齢性および変性性変化を起こして脆くなり、そこに力が加わって断裂します。散歩や階段を上るといった日常生活上の動作でも断裂してしまうことがあります。

 

■膝蓋骨(しつがいこつ)脱臼

文字通り、膝にある膝蓋骨が内外に脱臼してしまう疾患です。

 

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自宅でできるホリスティックケア

このようにさまざまな関節疾患があるわけですが、愛犬の歩き方がおかしいなど異常を感じた時は、まずは動物病院を受診し、獣医師によるきちんとした診断を受けて下さい。その上で、補助的に自宅でホリスティックケアを行うことが最良でしょう。

 

◇肥満を避ける

関節リウマチなど治療の難しい疾患もありますが、まず肥満を避けることが関節疾患全般の治療や予防にはとても大切です。

 

◇抗炎症を意識した食事

関節の炎症には抗炎症を意識した食事、具体的には高タンパク・低炭水化物・中~高脂肪食(動物性タンパク質をしっかり与え、穀類、イモ類などの炭水化物を極力控える)を心がけます。

また、炎症を促進するといわれているナス科の野菜(ナス、トマト、ジャガイモ、ピーマンなど)は避けて下さい。(生は特に避けることをおすすめします)

 

◇骨のスープでコラーゲン補給

そして、鶏もみじ(足)や鶏手羽先・手羽元を煮た骨のスープは特におすすめです。冷やしたときにスープがゲル状に固まるまでじっくりと煮て下さい。骨のスープに含まれるゼラチンやコラーゲンは関節疾患の犬にはとても有用です。

 

その他の有用な栄養素

 ◎オメガ3脂肪酸(EPA/DHA)
 抗炎症作用があります。1日に体重5~10kgあたり300mgを目安に。

 ◎ビタミンE
 オメガ3脂肪酸との相乗効果があります。体重5~10kgあたり1日100IUを目安に。

 ◎ビタミンC
 高濃度なビタミンCは、痛みを軽減しコラーゲンの合成を促進します。体重5kgあたり1日100mg程度から始め、週単位で増量、下痢になったらその量では多すぎるため、減量します。

 

◇リハビリ運動

その他、膝蓋骨(しつがいこつ)脱臼ではリハビリテーションとして、膝蓋骨を正常な位置に整復可能であれば整復し、再度脱臼しないように膝蓋骨周囲を保持した上で屈伸運動を行うと、拘縮した大腿四頭筋が伸展して可動域が広がり、症状が改善する可能性があります。(屈伸運動を行うことによって愛犬が痛がるようであれば、中止して下さい。)

 

ホリスティックケアで、いつまでも健康に、元気に走れる関節を目指しましょう!

<参考図書>
犬と猫の治療ガイド2015 インターズー
統合医療栄養セミナーテキスト

 

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