ホリスティック豆知識Blog

2019年02月06日(水)

豆知識

「漢方」を詳しく解説!ペットと人向けの違いは?

 

 

ホリスティックケア・カウンセラー養成講座では2017年12月に大きく教材リニューアルを行い、新カリキュラムとして「中医学養生」を追加しました。中医学養生は、中医学(漢方)において「いかに生を養い病気にならないようにするか」という考え方と具体策です。

そこで今回は「漢方(中医学) 」について、日本ペット中医学研究会の楊達(ようたつ)先生(中医師・医学博士・日本ペット中医学研究会学術顧問)が詳しく解説します。パートナー(愛犬愛猫)の健康だけでなくご自身の健康維持にも役立ちますので、ぜひお読みください。

 

漢方とはそもそも何ですか?

漢方と聞くと「漢方薬」を想像する方が多いようですが、中国伝統医学(中医学)そのもの、またはそれが日本に伝来し、独自に発展した日本漢方を指していることもあります。

漢方(中医学)では、個体に対して「体質の改善」「症状や病気の緩和や予防」という2つの目的から、自然界由来の生薬・食品を用いてオーダーメイドの処方によりアプローチします。科学的検査ではなく専門家の力による医療であり、個々の症状と中医学の理論に基づき病気の性質を判断し、診断します。また中医学では「個体の体質」を最も重視します。体質は生まれつきという一面もあれば、成長過程で変わっていくものもあり、生活環境や食事など体質に影響する要素全てを見て診断していきます。

 

ペットの漢方(中医学)と人の漢方は何が違いますか?

歴史から見ると、中国では人だけでなく、動物(馬、牛、畜産動物)にも漢方で治療していました。考え方や生薬は人も動物も同じですが、社会的な重要性などにより、人の漢方(中医学)のほうが重視され研究が深められていきました。

ただ、現代のペットにはとても有効であると考えています。元々自然界にいた犬や猫が人間社会に合わせた生活をすることにより、精神的なストレス、不適切な食生活、環境ストレスなどが発生。ペットの病気や症状が人間と近い状態になりつつあります。また医学の発達や予防薬の発達などにより、寿命自体は伸びました。しかし感染症など今まで多かった病気に代わって、がんなどの人と同様の病気(生活習慣病)が増えていきました。このような病気には西洋医学での対処療法だけではなく、体質、環境などから診断し対応策を考える漢方(中医学)が有効であると考えます。特に医食同源は人もペットも同じ。毎日の食養生はとても大切です。

 

漢方薬は「苦い」イメージですが、ペットに与えやすいものはありますか?

たしかに、生薬を煎じたり粉末にしたりしたものは苦いものが多いです。ただ、最近は漢方の素材を使った食品や補助食品などもあるので、そちらは与えやすいと思います。また、外用として使う場合でも、生薬を使用したケア用品(ボディケアなど)もあるので、おすすめです。

ただし、間違えないでほしいのは、生薬が入っているというだけでは漢方にはならないということ。中医学の理論に基づきデザインされており、個体の体質や状態にあわせて使用することが重要なのです。

 

ペットに漢方(中医学)の治療を受けさせたいとき、どうすれば良いですか?

【中医学の治療の3本柱】
 ●口から入る(内服、食べる)
 ●外からつける(外用とスキンケア)
 ●養生(生活リズム、生活環境)

漢方の中でも「食養生」なら、飼い主さまが自分で食材を調べて調理し与えることが可能であり、全ての基本となるのでおすすめしたいです。どの食材がどんな効果を生むかなどを考えながら、体質を見て与えるようにしましょう。治療目的で与えたい場合はペットの中医学の専門家にアドバイスをもらうことをおすすめします。

 

ペットに漢方(中医学)で治療する際の注意点はありますか?

ペットの治療は、小児科とよく似ています。個体の実際の状態を診察するのはもちろんですが、飼い主さまから情報を仕入れて、診断する要素も重要になってきます。すなわち適切な診断ができるかどうかは、飼い主さまの普段の関心度に関わってくるのです。

ですので、病院に行く前に自分のパートナーがどういう状況かをまとめてから病院に行きましょう。病院で獣医師が行うのはあくまでもアドバイス。そのあと、飼い主さまがどうするかが一番重要です。つまり獣医師と飼い主さまの共同作業になります。また、急激によくなるわけでなないので、根気よく行うことを心に留めておいてください。

【中医学の治療段階】
 ● 1段階:一番気になる症状を取る
 ● 2段階:調節(不調の改善)
 ● 3段階:養生段階(体質の改善)

症状や体質の変化に応じて治療も変化するので、西洋医学的な病名の診断とは異なります。病気を診るのではなく、周辺環境の中にいる個体を診ます。根気よく、そしてパートナーの状態を常に観察し、続けていくことが必要です。

 

楊達先生より一言メッセージ

中医学が望んでいることは「動物も人も、より健康で長生きを目指すこと」です!

 

(講座事務局 塔春)


 

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