ホリスティック豆知識Blog
2019年09月12日(木)
シニア犬の行動問題に注意。その裏に「別問題」あり?
9月16日は敬老の日。パートナー(愛犬)が「ご長寿」の場合はもちろん、「もうすぐシニア期」の場合も「この先どんな変化が起こるの?」「何に気を付けたら健康に過ごせるの?」という不安があるかと思います。
今回は「シニア犬介護コース」のテキストから、「老化」と密接な関係がある「行動の変化・行動問題」をテーマに情報をお届けします。
犬に起こる「自然な老化」とは
犬も年を取ると、身体の内と外にさまざまな機能の変化や低下、つまり「老化」が訪れます。
老化は、「身体機能や臓器機能の進行性の減少」と定義されています。
簡単にいうと、細胞の新陳代謝が衰えることで細胞の数が減ったり、ホルモンの分泌量が減ったりなどの変化が生じますが、それが全身の内臓や目や脳などの器官でおこり、具体的な不具合となって現れ「老化」と呼ばれるのです。
歳をとると、心と身体に「ごく自然な変化(老化)」が起こります。その種類はさまざまで、個体差もすごく大きいです。
<自然な身体の変化>
◆感覚器(特に視覚や聴覚)の衰え
例)目が悪くなる、耳が聞こえにくくなる
◆神経伝達系や脳神経の変化による認知機能の変化
例)音は聞こえていてもそちらを振り向かなくなるなど
◆筋骨格系・神経系・消化器系・泌尿器系・内分泌系などの衰えに伴う、情報に対応する機能や能力の変化
例)トイレへ行きたいのになかなかたどり着けないなど
<自然な心理的・脳機能の変化>
◆新しいものや状況を認知する能力が劣える
◆ものごとのとらえ方が変化する、判断し行動する能力が衰える
◆考え方の柔軟性が少なくなり、頑固な気質に変わっていく
◆ささいな刺激に敏感になり、我慢ができなくなる
歳をとるほどに頑固になったり我慢ができなくなってくるのは、環境の影響も大きいですが、「老化」のせいでもあるんですね。
「自然な老化」と一緒に起こる「注意したい変化」に気を付けよう
さて、注意したいのはここからです。
過剰発声、不適切な排泄行動、破壊行動、攻撃行動など、オーナーが困る犬の行動問題の中には「自然な老化現象」と「それ以外の注意したい変化」が組み合わさって、起こっているものがあります。
心と身体の自然な変化だけであれば、オーナー(飼い主)も受け入れやすいのですが、そのような原因で起こる行動の変化はオーナーにとってもパートナーにとっても大きな問題となる可能性があります。
注意したい変化には、こんなものがあります。
【1】医学的問題(異常な身体の変化)
シニア犬に、
「不適切な排泄」
「排尿回数の増加」
「攻撃行動」
「活動性の低下」
「イライラの増大」
「食べものが関わる攻撃行動」
などの行動問題がある場合、その原因に病気が潜んでいることがあります。
「年だから仕方がない」と思わず、かかりつけの獣医師に相談しましょう。
【2】環境要因/社会的要因/生活スタイルなどの変化
シニア犬に、
「家の内外の環境の変化(部屋のレイアウト、家の場所など)」
「家族構成や同居動物の変化」
「生活スタイルなどの変化」
などが起こると、身体や脳の機能の順応しにくさによって行動が大きく変化し、行動問題につながる場合があります。
【3】ストレス
犬のストレスの原因となるものはさまざまです。
環境や生活スタイルに変化がなくても、もともとそれがそのパートナーにとってストレスだった場合、若いうちは対処できていてもシニア期になると忍耐力低下によって対処できなくなってしまう場合があります。
その結果、オーナーが行動問題だと感じるほどに行動が悪化してしまうことがあります。
何がストレスの原因になるか、それにどう対処するかは個体差があるため、パートナーが若い頃からストレスを感じていないか、その原因は何かに気づく観察力が必要です。それはシニア期からはじめても遅くはありません。
【4】学習
犬はシニア期に入っても学習します。
ただし、学習の目的は、若いときのようなチャレンジ精神に富んだり楽しさを求めたりするようなものではなく、「嫌なことからの回避」「オーナーへの依存」などネガティブな目的が多くなります。これは自然な現象ですが、犬にとっては楽しめることが減ることにもつながるので、「ある行動をとったらよいことが起こる」といった方法を使い、シニア期になっても楽しめることを学習できるようにしてあげましょう。
シニア犬では、若いときよりも医学的な問題が行動の変化に大きく影響します。
オーナーがこれらの予備知識を持っておくことはもちろん、シニア期に入ったらなるべく早く獣医師による一般診療または行動診療を受けることをおすすめします。加齢に伴う変化を少しでも早く発見し、悪い方向に進行するスピードを遅らせてあげられたらいいですね。
(講座事務局)
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