ホリスティック豆知識Blog
2020年02月20日(木)
季節の変わり目の体調不良はなぜ起こる?(冬⇒春編)
今年の冬は暖冬でしたが、冬は「寒さ」による体調不良を起こしやすい時期です。
中医学の考え方にもとづくと、身体で特に寒さの影響を受けやすいのは「腎」と「膀胱」です。そして2月に立春を迎えると、暦の上では春になり、少しずつ暖かくなってくると同時に、体内では「肝」の働きが活発になってきます。
このように、季節の移り変わりは私たちや動物たちの身体にも影響を与えています。
今回は冬から春にかけての犬や猫に起こる体内の変化と、オーナー(飼い主)にできるケアをご紹介します。
中医学での病気の原因のとらえ方
まず最初に知っておきたいのが、中医学の基本的な考え方です。
中医学は、古代中国の時代から現在までに発展してきた中国特有の医学、中国伝統医学のことです。中医学で特徴的なのは、病気を治す知恵だけではなく「いかに病気にならないようにするか」という考え方があることです。
中医学では病気の原因を「病因」といい、大きく分けて3つあると考えられています。
1つ目は「外因」で、外からの影響です。
- 春の強い風(風)
- 夏の暑さ(暑)
- 梅雨時の湿気(湿)
- 秋の乾燥した空気(燥)
- 冬の寒さ(寒)
どれも適度であれば問題ありませんが、度を過ぎると「風邪」「暑邪」「湿邪」「燥邪」「寒邪」となり、身体にも影響してきます。
2つ目は「内因」で、体の内側から沸き起こる感情です。
- 怒り
- 喜び
- 思い悩み
- 悲しみ
- 恐れ
喜怒哀楽は当然の感情ですが、やはり度を過ぎると内臓にダメージを与えてしまいます。
3つ目は「不内外因」で、内因でも外因でもないものです。
例えば食事の不摂生や生活リズムの乱れなどです。
冬⇒春の過ごし方はここに注意!
冬の寒い時期、身体はいろいろなものを溜め込む体質になり、その影響を受けやすいのは「腎(じん)」と「膀胱」です。寒いので飲水量が減ったり、トイレを我慢したりして膀胱炎や尿路結石など泌尿器系のトラブルが多くなります。
腎には生きるためのエネルギー(気)が蓄えられています。そのため中医学では「腎」が丈夫だと元気で長生きをする、と言われています。
腎・膀胱と同じグループに分けられているのが、耳や髪、骨、関節、歯などです。そのため、腎が弱くなってくると耳が遠くなってきたり、髪(被毛)が抜けたり白髪になったり、骨や関節が弱くなったり(ヘルニアなど)、老化現象が現れます。
これらをふまえ、寒い冬の季節は、特に腎を養うことが大切になります。
腎におすすめの食材は「黒色」の食材
腎におすすめの食材は「黒色」の食材です。
例えば黒ごま、黒豆、黒米、ひじき、黒キクラゲ、昆布などを軟らかくなるまで加熱して、消化しやすいように細かく切ったものをトッピングや手作りごはんに使用してください。また、水分が多めのスープごはんを与えたり、ドライフードにスープをプラスするなどして、必要な水分が摂取できるように気をつけましょう。
そして、食べることと同様に、体内の巡りを良くすることも大切です。
全身をさするようなリンパマッサージなどを行い、老廃物を溜め込まないようにしましょう。また、背骨の両サイド(膀胱経)は利尿作用に優れています。さすったり、弱い振動を与えるように軽くたたいたりするマッサージが有効です。
冬が過ぎ、2月に立春を迎えると、暦の上では春になり少しずつ暖かくなってくると同時に、体内では「肝(かん)」の働きが活発になってきます。「肝」は「疏泄(そせつ)作用」といって、全身に気(エネルギー)を巡らせる働きがあります。肝が元気であれば体内に十分に気を巡らせることができますが、ストレスに弱い臓器なので、その影響を受ければ気の巡りが悪くなり、イライラしたり、目が充血したり、不眠などの症状が現れたりします。
肝をいたわる「緑色」の食材
そんな時におすすめなのが「緑色」の食材です。
アスパラガス、ブロッコリー、小松菜などがおすすめです。さらに、香味野菜は気の巡りを良くする作用があるので、春菊、三つ葉、セロリ、紫蘇など香りの強い野菜も上手に活用しましょう。
そして、冬と同様に、リンパマッサージで体内循環を良くすることも大切です。
また、寒い時期は、お散歩を短く済ませていたかもしれませんが、暖かくなってきたらぜひゆっくりと!太陽を浴びて、風を感じて、鳥の声を聞いて、土の匂いを嗅いで…そんな風に五感を刺激してください。脳の老化防止にもつながります。春の暖かさと一緒にお散歩を楽しんでくださいね。
私たちも動物たちも、季節の変化の影響を受けて生きています。季節に合った食材を取り入れること、生活のリズムに気をつけること、お散歩やマッサージなどで巡りを良くすることを心がけ、共に健康に過ごせるようにしましょう。
ホリスティックケア・カウンセラー養成講座では、中医学の視点から犬や猫の体質と、体質別のケアの基本を学べます。