ホリスティック豆知識Blog
2020年02月06日(木)
犬と猫の『免疫力』を知ろう
新型コロナウイルスの第三波に関するニュースが飛び交っていますね。一日も早く収束することを願うばかりです。
さて、人はもちろん犬や猫も、感染症をはじめとするあらゆる病気の予防には「免疫系」がしっかりと機能していることが大切です。
「じゃあ、免疫力アップの方法って?」が知りたくなると思いますが、その前に、まずは飼い主として、犬や猫の体の仕組みを知っておく必要があります。
ここでは「免疫系」について簡単に説明します。
免疫系の働きって?
人や犬・猫など動物の体には、健康に悪影響をおよぼす異物の侵入から体を守るための「免疫系」というシステムがあります。
【異物の例】
- 微生物(細菌、ウイルス、真菌など)
- 寄生虫
- がん細胞
これらの異物から身体を守るため、免疫系は「自分の身体の一部であるもの(自己)」と「そうでないもの(異物)」を区別する必要があります。
異物として認識されたもののうち、免疫系によって危険とみなされた物質は、免疫反応を刺激します。この物質を『抗原』といいます。免疫系が正しく機能している場合は、有害な「抗原」を見つけ出して攻撃します。
免疫系の構成メンバーは?
免疫系はとても複雑で、たくさんの細胞、組織、器官が連携してその効力を発揮しています。
侵入しようとする異物に対する役割の違いによって、いくつかに分類されます。
物理的バリア
バリアの第一線は、「物理的なシャットアウト機構」です。
『皮膚』や『気道、胃や腸などの消化管、尿路などの内側にある「粘膜」』などがそれにあたります。
これらのバリアに傷がなければ、異物の多くは侵入できません。
白血球
次のバリアは、「白血球」が関わるものです。
白血球は赤血球や血小板などとともに血液に含まれる細胞の1種で、血流に乗って体内を巡り、組織に入って異物を発見し、攻撃します。
白血球にはたくさんの種類があり、それぞれに様々な働きをしています。
<機能別>——-
- 自然免疫:体にとって未知の異物であっても、効果的に働きます。いくつかのタイプの白血球が関わっています。
- 獲得免疫:次に同じ異物が侵入したときに、より効果的に攻撃できるよう異物を記憶し、攻撃方法を学習します。リンパ球が関与しています。
「自然免疫」と「獲得免疫」とは、相互に作用し合い、影響を及ぼし合います。
<細胞の種類別>——-
- 顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)
細菌などの異物を取込んで消化・殺菌する働きや、特定の寄生虫に対して身体を守る働き、また免疫系における監視機能と傷の治癒の役割などを担っています。
- 単球
異物を貪食する作用があり、外敵の侵入を防いでいます。
また、血中から組織内に入ると、大型でアメーバ状の細胞「マクロファージ」となり、異物をとらえて細胞内で消化します。
- NK(ナチュラルキラー)細胞
がん細胞やウイルスに感染した細胞を認識して、直接傷害する能力があります。
- リンパ球
獲得免疫の役割、つまり未知の異物に遭遇したとき、次にすばやく攻撃できるようそれぞれの異物を記憶する働きがあります。獲得免疫は、できるまでには時間がかかりますが、いったんできあがると素早く反応することができます。Bリンパ球とTリンパ球が協力して働き、異物を破壊します。
◎Tリンパ球
異物細胞や異常細胞を攻撃する働きや、Bリンパ球が抗体を作るのを助ける働き、免疫反応を終結させる働きなどを担っています。
◎Bリンパ球
異物(抗原)に出会うと、「抗体」を作って他の免疫細胞が抗原を捕食するのを助けたり、細菌が作る有毒物質を不活性化したり、細菌やウイルスを直接攻撃したりして身体を守ります。
器官
免疫系には、白血球のように体内に分散する細胞のほかに、いくつかの器官が関わっています。
「白血球を作ったり増殖したりする器官(骨髄や胸腺など)」「免疫系を担う成熟した細胞が集合して特定の免疫反応を行う器官(リンパ節や脾臓など)」があります。
免疫力を高めるには?
免疫系にはさまざまな「細胞」や「器官」の働きがベースになっていることがお分かりいただけたかと思います。
免疫力を高めるには次のようなポイントがあります。
1.腸内環境を整える
腸は「物理的バリア」の役割があり、かつ腸の粘膜には多数のリンパ球などの免疫系細胞が存在していることから、免疫系にとって重要な器官だと言われています。
また、腸内細菌叢に善玉菌・悪玉菌・日和見菌がバランスよく存在することで、免疫系によい影響を与えると言われています。
2.適切な食事
細胞は常に新陳代謝を繰り返して生まれ変わりますが、それは免疫系に関わる細胞も同じ。そのため、適切な食事による栄養補給が大切です。
また適切な栄養補給は「1.腸内環境を整える」にもよい影響を与えます。
3.ストレスから守る
身体は、自律神経系・内分泌系・免疫系のバランスによって微妙に調節されています。ストレスによりこのバランスが崩れると、病気が生じます。人間界で暮らす犬や猫にはさまざまなストレスがかかっている可能性があるため、気を配りケアする必要があります。
広い視点で健康ケアを
ここまで、免疫系と免疫力アップについて解説してきましたが、健康のためには「免疫力を上げること」だけに注力するより、もっと広い視点で「身体全体の自然治癒力を高める」という考え方が大切です。それにより、免疫系にもよい影響を及ぼすということを目指しましょう。
なお、人と犬や猫の免疫系は、仕組みは同じですが、犬や猫にとっての「適切な食事」や、「ストレスの原因や対処法」は人とは異なります。正しい知識でパートナー(愛犬愛猫)を健康に導きましょう。
ホリスティックケア・カウンセラー養成講座では、犬と猫の「身体の仕組み」「自然治癒力を高める食事・心・体のケア」を幅広く学べます。