ホリスティック豆知識Blog

2020年06月05日(金)

豆知識

愛犬のためのホリスティックグルーミングレッスン【7】シャンプー(後編)

【根拠あるやさしいグルーミング】をテーマに、犬の身体の構造や動きを研究し、グルーミングを行うトリマーの石井あゆみさん(トリミングサロン「leaf dog(リーフドッグ)」経営)に、飼い主さんに知っていただきたいグルーミングの基本についてシリーズでレクチャーしていただきます。


定期的なグルーミングは人と暮らす今の犬たちにとっては、必要不可欠なこと。
でも方法を間違えると、とても負担のかかることになります。
そして、その原因となっているのが、飼い主さんの日頃の間違った方法だったということも珍しくありません。

意外と知らなかったことや、間違って行っていたことなど、新たな気づきが満載です。
犬の身体の構造、特性を知り、そのうえで、犬が一生必要とする身体のケアを犬にも飼い主さんにも負担をかけないやさしい時間にするために、ぜひお読みください。

今回は「シャンプー」について、後編「シャンプーの方法」をお届けします。(前編はこちら

 

シャンプーの方法

3つの洗い方をご紹介します。ケースごとに使い分けてください。

■準備する道具
・桶(2-4リットルくらいの大きさのもの)
・ボディスポンジ(100円ショップで売っているようなもの)
・シャンプー
・ベビーバス(小型犬など、必要であれば)

シャンプーの方法 パターン1

1つ目は通常の洗い方です。

【1】初めに桶にお湯を1リットルほど入れます。そこにシャンプー剤を5~15ml入れます。このくらいの濃度が一番使いやすい濃度です。濃度がわからないときは、まずはお湯に希釈したシャンプー液が泡立つかどうかをスポンジで確認してみてください。スポンジをもみもみしても泡立たないときは、濃度が薄いかもしれません。


【2】桶の中のシャンプー剤入りのお湯にスポンジを入れ、もみもみして泡を立てます。


【3】ある程度泡立ったら、スポンジでシャンプー液と泡をすくって、犬の体にかけます。犬の毛は乾いた状態の所にかけてOKです。毛の奥まで浸透するようにかけていきます。


<ポイント!ココで重要なことがもう一つ>

泡の硬さです。
濃い濃度で作った硬い泡は、毛量の多い犬には適していません。それは、毛の奥の皮膚までシャンプー液が浸透しないからです。毛の表面だけの汚れが落ち、肌の汚れや毛の根本の汚れが落ちません。しかし、毛の量のとても少ない状態の犬や、バリカンで短く毛を刈ってある状態の犬には、この硬い泡で洗ってあげる事が良い方法です。それは、泡が垂れ落ちず、肌にとどまるからです。とどまって、汚れを落とします。

毛の量の多い犬に対してはややシャバシャバな泡を使用し、毛の短い犬には硬い泡を塗布してあげてください。


【4】全身がシャンプー液で濡らすことが出来たら、軽くなでるようにし、シャンプーを犬の毛になじませます。この時ゴシゴシ擦らないでください。ゴシゴシ擦る事で皮膚を傷つける可能性があります。犬の皮膚は人の皮膚より薄くできているので、特に優しく撫でるようにしてください。


【5】全身にシャンプー液をなじませたら、最後に顔を洗います。
顔を洗うときは、シャンプーの液だれを防ぐために、原液か硬めの泡を使用する事が多いです。犬には、目をつぶっててね、と言っても、目はいつも開いています^^;目に入らないよう、液だれしにくい原液か、硬めの泡で行うとやりやすいと思います。

万が一目にシャンプー液が入ってしまったら、すぐさま水で目をすすいでください。目をすすいだ後に、白目が赤く充血していたら、すぐに獣医さんに相談してください。


【6】顔を含めた全身にシャンプー液が付いたらすすいでいきます。
まず顔からすすぎます。体をすすいでいる間に、顔に付いたシャンプー液が液だれして目に入ってしまう危険性があるからです。できるだけそのようなリスクを避けるために、顔からすすいでいきます。犬の鼻先を上に向けてすすいでいきます。鼻先を上に向けていると、鼻と耳穴に水が入る事が防げます。

すすいでみて、べたついていたり、汚れ落ちが不十分な部分があれば、再度洗っていきます。同じように洗う事も良いですが、部分的に、濃い目に作ったシャンプー液を泡立てて塗布するのも良いと思います。


【7】再度すすぎ、汚れ落ちがしっかりできたなら、リンスをお好みで使用します。リンスには毛を守る事や、毛玉になりにくくする効果があるので、ぜひ使用してみてください。
もし肌の乾燥が気になる場合には、犬用の保湿ローションが販売されているのでそちらを使用するとなお良いかもしれません。シャンプー後の肌を整え、保湿する事は肌の健康にとても大切です。

 

↓動画でより分かりやすく!シャンプーの方法 パターン1はこちら↓

シャンプーの方法 パターン2

2つ目の洗い方は、入浴です。
頻繁にお風呂に入れてあげたいオーナーに向いています。
犬用の入浴剤が販売されていますし、もし犬用の入浴剤が手に入らない場合はシャンプーを薄めて使用しても良いと思います。


ベビーバス等に犬の肘位までつかる程度にお湯を入れます。
犬を入れ、コップや小さい桶のようなもので全身にかけて入浴させてください。
お湯の温度は35~37度で、体温より高い温度は熱中症の危険があるので、十分に注意し、犬の体温や様子を見ながら行います。
高齢の犬の場合は、少し暖かめの温度で短時間にします。
熱中症も心配ですが、温度が低すぎても、低体温症となるので気を付けましょう。

シャンプーを薄めた場合には、すすぎが必要です。

 

シャンプーの方法 パターン3

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お散歩帰りの手入れ
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■汚れがひどい場合
お散歩から帰ってきて、足だけ洗う場合、桶にシャンプー液を作り、そこに1本づつ足を入れてもみもみします。
汚れがひどい場合は2~3回繰り返します。
すすいで乾かします。


■お散歩で汚れ酷くない場合
濡れタオルで足をふき取ります。
もし、水だけでは物足りなさを感じる場合は、すすぐ必要のないふき取り用の製品が販売していますので、そのようなものを活用しても良いと思います。濡れタオルで全身を拭き、獣毛ブラシでブラッシングしてあげるだけでもホコリなどは落ちます。

 

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シャンプーの頻度
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シャンプーの頻度に、明確な決まりはありません。

汚れや臭いが気になったら、洗ってあげるというのでいいと思います。
ただし、過度に洗いすぎることは、人間もそうですが、アレルギーやアトピーのリスクが増えると言われています。また、洗いすぎは皮膚のバリア機能を有している皮脂膜を取りすぎてしまう事になります。取りすぎてしまうと、肌荒れや乾燥の原因にもなりかねません。
もし、毎日洗いたければシャンプーを使用せずにお湯だけで洗う事をお勧めします。


私のお勧めは4~5週間以内に最低1回、多くて週に1回ほどです。
爪切りの頻度と合わせてついでにシャンプーをしてあげるのが良いと思いますが、4~5週間以内の期間であれば、体の汚れはさほど強くありません。
さほど強くない状態の汚れであれば、皮膚に刺激性の少ない洗浄力がマイルドなシャンプーで洗ってあげることができます。
どうしても汚れが多ければ多いほど、シャンプーの洗浄力は強いものをチョイスしますし、そうすると肌への刺激が気になります。また、汚れが多いのに、肌への刺激を気にしすぎて、マイルドな洗浄力で洗おうとすれば、汚れは落ちず、何度も洗わなければならず、シャンプー時間が長くなり、これも犬に負担がかかってしまう恐れがあります。


適度なシャンプー頻度やシャンプー剤の選択は、経験と仕上がりの見極めとなります。
季節や汚れの程度はその時によって違う事もありますので、あまり考えすぎず、楽しくシャンプーしてあげて下さい。

 

まとめ

犬をシャンプーするという事は、人との生活に欠かせない事です。
人の衛生的な環境を守る事であったり、犬との生活をより豊かにするためにも、犬のシャンプーは必要です。しかし、人の生活の豊かさの為に犬がシャンプーで疲れてしまったり、負担が多くなることは避けたいですね。だからこそ、パートナーにシャンプーを好きになってもらいましょう!こまめにケアしてあげる事でパートナーシャンプーされることに慣れます。


時々長毛の犬が老犬になり、シャンプーが苦手だからという理由で、汚れてしまってもシャンプーができず、顔やお尻等が汚れてしまってもお手入れがしにくい状況のオーナーと出会います。できるだけパートナーに負担が無いようにケアしてあげたいと思うのですが、どうしてもそのようなこはストレスを多く感じてしまいます。
こまめにシャンプーしてあげる事は、飼い主の生活を豊かにする事でもありますが、犬がシャンプーに慣れる事により、老犬になっても負担なくケアができ、最後まで飼い主様に可愛がってもらえるという事にもなります。


老犬になっても最後までシャンプーされて飼い主様に抱きしめて沢山触ってもらう事が犬にとって一番の幸せにつながると信じています♡

 

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◆リーフドッグ石井 あゆみ
ホリスティックケア・カウンセラー
JKC A級トリマー
日本ペットサロン協会アンバサダー

専門学校を卒業後2つのお店で修行をし、その後、2009年27歳で起業しleaf dogを開業。
論理的にとことん優しいグルーミングを日々研究している。
国内外のコンテストでの受賞暦も多く、高い技術を持つ。
業界誌トリムの連載を2017年8月号から開始。

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